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ダイヤモンドメディア武井浩三社長

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今、話題のダイヤモンドメディアの武井浩三社長にお話しを伺ってきました。

ダイヤモンドメディア武井社長

ダイヤモンドメディア武井社長 オフィスにて

ダイヤモンドメディア株式会社の商品、サービスはかなり差別化されていますが、経営スタイルがとんでもなくユニークです。

一例をお伝えすると・・。

社長は選挙で合議制。

給与は自分で決める。

役職や肩書きは自由、上下関係なし。

働く時間、曜日、休みは自由。

働く場所も自由。

こんな会社です。

他では聞いたことがない運営の会社ですよね。

会社の業務はちゃんと機能しているのでしょうか。

そのあたりのお話しやユニークな商品について伺ってきました。

 

そもそもこの会社は不動産業界向けにwebソリューションを提供している会社です。
例えば、賃貸物件のリーシングを促進するためのASP型webサイトである、【ダイヤモンドテール】を提供しています。
そのサイトのSEO手法はロングテール戦略にのっとったものです。
webの知見がある方はご理解されていると思いますが、SEO対策としては、まずビックワードやミドルワードと呼ばれている、検索量が多いものを中心に考えます。
しかし、ネットの場合、月間でわずか数件の検索量であってもそれが自社の商品と非常に関連性の高いキーワードであれば、ぜひ誘導したいですし、その積み重ねがサイト訪問数の拡大につながります。
これをロングテール戦略と呼びます。
ネット時代だからこそ有効な戦略ですが、これをシステムで対応するのは結構大変なことなんです。
【ダイヤモンドテール】ではシステム的にこれを可能としています。
 
また、今回、新たに投入された【Centrl】は、さらに興味深い商品となっています。
かなりマニアックなテーマになりますが、オーナーから賃貸物件を預かっている賃貸管理会社では、自社で広告をしたり、その物件情報を仲介会社等に流しています。
そして物件情報を得た仲介会社はその物件の広告をします。
つまり、同じ物件が管理会社や複数の仲介会社から広告掲載され、いろいろな会社から案内や申込が入ることになります。
管理会社としては、どの物件をどの業者が広告をしていて、案内はどの業者が入れてきているか、その後の成約率はどうかといった情報を一元管理することはなかなか難しいですし、さらにその物件の競合になりそうな物件の価格や状況などを把握することはかなり手間がかかります。
それらの課題を一気に解決する商品として、今回、【Centrl】という商品を提供しています。
これは管理会社のマーケティングやリーシングにも有効ですし、オーナーとの情報共有や報告にも効果的だと言えます。
 
このようにこの会社の商品は他社にはないユニークなものですが、最初にお伝えしたように、この会社では驚きの経営を行っています。
あまりにもユニークなので、繰り返しますね。
社長は選挙で合議制。
給与は自分で決める。
役職や肩書きは自由、上下関係なし。
働く時間、曜日、休みは自由。
働く場所も自由。
こんな新しい組織の形は最近、【ホラクラシー】と呼ばれています。
ホラクラシーとは従来のようにトップダウンのヒエラルキーによって意思決定がされるのではなく、組織全体に権限を分散させ意思決定させることで、自走する組織を保つための組織のマネジメント方法だと言われます。
ホラクラシー経営で有名なのは、ザッポスやEvernote、パタゴニアなどの世界的な企業があります。
日本でもミスミやネッツトヨタ南国などが採用していると言われます。
しかし、その目的のためにここまで純粋に追求しているのはこの会社が唯一かもしれません。
ホラクラシーの概念について、武井社長はこう説明されています。
「ホラクラシーの概念は次の3つだと考えています。
1つは、非階層型の組織。
2つ目は、役職・肩書きがない。
3つ目が、意思決定が分散していること。
このホラクラシーとは、自立自走を促す柔軟な、次世代型の組織形態なんなです。」
なかなか、一度聞いただけでは理解できません。
もう少し、説明をしていただきます。
「ホラクラシーの対極にあるのが、ヒエラルキーです。
ヒエラルキーとはいわゆる階層型組織です。
社長がいて、部長がいて、課長がいて、メンバーがいる、一般的な会社組織です。」
そして、武井社長曰く、
「ヒエラルキーには限界がある」と言います。
「ヒエラルキーは組織の流動性だけでなくイノベーションを起こす力や、個人の仕事の目的意識までをも失わせてしまうんです。」
「組織的に言うと、ヒエラルキーは2次元組織であり、組織全体を安定化させるメカニズムを持っています。
安定化というと良く聞こえますが、固定化、硬直化です。
上下という階層は、昇格しやすく降格しにくいという特性を持っています。
部署や部門という縦割りは、部を横断しにくいという特性を持っています。
ヒエラルキーは、縦にも横にも移動しにくい。
一度移動してしまうと戻りにくいという特性が働きます。
戻りにくいから移動自体も慎重にならざるを得ない。
さらには給与体系などの制度も、それに合わせた評価軸になっている。
給与は上げやすいけど下げにくい、職務内容が変わると評価基準も変わるなどなど。
その全てががんじがらめになって、組織全体の柔軟性を壊しているんです。」
確かに、弊社もいろいろな会社の経営コンサルをしている中で、これらの課題は通常の組織では解決が難しいテーマではあります。
そこでホラクラシーは、ヒエラルキーを紐解いて緩やかにしていくことで、壊れてしまう大切なものを育んでいくことになります。
うーむ、わかるような、ですよね。
「つまり、みんなの仕事の邪魔をするものをとにかく取り除いていくことなんです。
例えば、外発的動機付けの要因となる【お金】と【肩書】。
さらに、【不透明さ】と【理不尽な権力】。
また、経済的な【非合理】【非効率さ】。
これらを徹底的に無くしていきます。
これが、ホラクラシー経営構築の大原則です。」
では、具体的にはどんな施策をされてきたのでしょうか。
「2008年より、弊社が実際に取り組んだことはざっくりとこんな感じです。
<マネジメント面>
* 明文化された理念がない
* 人を管理しない
* 働く時間、場所、休みは自由
* 上司部下無し(メンバーと呼ぶ)
* 労使概念の排除(経営と労働の融合)
* 残業という概念の排除
* 肩書は自分で決める
* リーダーは自然発生に任せる
* 部署制、事業部制、プロジェクト制の立体3軸
* 「場」の力によるマネジメント
* 全ての社内データにアクセス可能
* 会議は誰でも参加自由
<金銭面>
* 自分の給料は自分で決める(チームでの話し合いもします)
* 会社の財務情報はすべてオープン(MFクラウド会計で公開)
* 決済の裁量は個人の常識と良心に任せる
* 会社の利益の使い道は分配を相談して決める
* コミッション制の排除(かなりクールな現実主義ですがあくまで給料制)
* 手当がめちゃ手厚い(ベーシックインカム的な)
<人事面>
* 中長期、年次、月次の目標設定と自己評価
* 社長、役員は毎年選挙
* マネージャーという役割は無い(リーダーはあるっぽい)
* 他社に短期留学OK(1回1ヶ月程度)
* 採用は受け入れチームが自由にやる
* 人柄、ポテンシャル採用(その上でスペシャルな人がベスト)
* キャリアマトリクスによる価値観の評価
<カルチャー面>
* 価値観を高いところで共有するための週次クレドミーティング
* 自分を語る「夢プレゼンテーション」
* 父の日母の日には全員の両親にプレゼントを贈る
* 新メンバー採用時には、その両親に花と手紙をプレゼント
* ボーナスは家族孝行に
* 給料日には、全員で感謝の手紙を書いて交換
* 誕生日は盛大に
* 組織的な定期的断捨離
* 起業、副業を推奨(起業しても社内に残れます)」
うまく機能するまでにいろいろな失敗があったと言いますが、試行錯誤の結果、現在はかなり理想的な状態になってきたと言います。
例えば、時代が求める素早い意思決定や迅速なPDCAが可能になり、バラエティ豊かな才能を持つ個人のポテンシャルを最大限活用することができているそうです。
今後は会社の規模が大きくなっても同じようにうまく機能できるかが課題とのこと。
かなり長くなりましたので、ホラクラシーについて詳しく知りたい方は、ネット等でホラクラシーと検索してみてください。
また、武井社長のブログでも詳しく紹介されています。
武井社長のブログ 
武井社長いわく、
「これまでの経営が資本主義に基づいた、【合理主義経営】だとすれば、ホラクラシー経営は、共生主義に基づいた【人間性経営】だと言えます。」
ホラクラシーがすべての企業にとって有効かどうかはわかりませんし、そもそも組織運営の方法論に過ぎません。
しかし、これまでの課題を払拭できるヒントが有り、研究すべきテーマであることは間違いないと言えそうです。
ダイヤモンドメディア武井社長と。

ダイヤモンドメディア武井社長と。

(取材・文:不動産業界活用マガジン編集長 加納幸典)