このところ、京都の老舗企業のご紹介を簡単にしていますが、最後に訪問したのが、大正9年、1919年に伏見にて地元酒造業者の機械等を製作する会社として創業した生田産機工業さんです。
来年創業100年となる会社なので、これまでの何百年という企業から比べると老舗感は少ない気がしますが、理念経営を地道に追求する姿勢や、その後の人を信じた事業拡大など、学ぶべき点が多くありました。
現在では、ミクロン単位の高精度の加工を実現する国内唯一の伸銅の面削装置メーカーにまで成長されています。
今回は三代目である生田泰宏社長から、地元の伏見から世界へ羽ばたかれた秘訣や歴代社長が代々大切にされてこられた「工場は人づくり」という考え方、そして日々「人間力」を高めるために行われていることなどを熱くお話しいただきました。
いくつか印象に残ったのは、社員を大切にする姿勢です。
毎週の全社定例会の場で、奥様がいる社員には奥様の、いらっしゃらない場合はご両親の誕生日や命日に記念品を贈っています。
これが形式だけになっていないのは社長がこの会社を引き続いたときの壮絶な経験から来ています。
詳しくはお伝えできませんが、突然のお父様からの事業承継、叔父さんとの確執、それを解決するためのお母様の覚悟や行動。中国の国営企業の工場で見つけた、現役の機械に刻まれた30年前の自社製品のロゴ。
そして、50年近く働いてくれた職人さんの信じられない感動的な言葉などこれらが社長の中で本当の意味での会社を継続する意味や理念となっており、その思いが会社全体に浸透しています。
社員用に食堂が用意され、一部は和室となっています。
先端のメーカーらしく、徹底した整理整頓が行われています。