柏木さんはとてもユニークなビジネスモデルで不動産業界に切り込んでいます。
お話を伺ってみるとユニークであると同時にとても夢のあるビジネスだと感じました。
まず、この会社が打ち出しているキャッチをいくつかご紹介します。
”住む人の思いをカタチに”
”冒険するように暮らそう”
”これまでの賃貸にはないものを”
”ライフスタイルが変わるワンルーム賃貸”
”ワンルーム賃貸をもっと自由に、もっと豊かに”
”ずっと住みたくなる部屋に”
”1R賃貸✕スタイル型リノベーション”
なんかワクワクしてきますよね。
柏木さんの会社が提供していることは、キャッチからなんとなく想像できるかと思いますが、主にワンルームや1Kの賃貸住宅に特化したリノベーション事業です。
しかも単に部屋を綺麗にするだけでなく、とても世界観のある素敵な部屋に大変身させるリノベーションなんです。
お洒落なカフェのようなお部屋など、住む方が暮らしながらワクワクするようなスタイルを提供していて、選べるスタイルとしては、カリフォルニア、ブルックリン、インダストリアル、ボタニカルの4種類が用意されています。
また、その世界観を作るために壁はもちろん、照明やピクチャーフレーム、シェルフなど部屋を構成するパーツなどもそれぞれのスタイルに合わせた仕様になっています。
このスタイリングツールを活用しているところが大きなポイントとなります。
もちろん、お金をかければどんな部屋でもカッコ良くできますが、これらは賃貸住宅のため、リノベーションにかける費用の投資効率が求められ、しかもワンルームや1Kなので大きな金額はかけられません。
しかしこの会社の場合、コストバランスをうまくコントロールしていて、とても豊かな世界観を醸し出しながらコストを抑えることに成功しています。
柏木さんにこの事業を始められたきっかけを伺いました。
「結婚して育児に追われていたんですが、子どもが大きくなって時間的な余裕が出てきたところで何か仕事を始めたいと思ったんです。
そんなときにあるきっかけでたまたま小さなワンルームの大家業をやることになりました。
なかなか契約できない部屋を見にいってみると、無機質で全然ワクワクしないんです。
そこで素敵なライフスタイルがイメージできるように少しづつリフォームをしていったんです。
するとある日、その部屋を見学に来られた方がとても気に入られすぐにご入居いただきました。
誰だって自分が住む部屋を素敵にしたい、自分のライフスタイルに合った部屋に住みたい、と思っていることを改めて実感しました。
入居される方が嬉しい、貸しているオーナーも嬉しい、そんな笑顔を提供できる我々も嬉しい、そんなビジネスを展開したいと思って、このビジネスをはじめました。」
この分野はビジネスモデル的に難しい側面が多く、他社がなかなか参入してきません。
そういう意味では難易度は高いですが、逆にここでビジネスを確立することができれば大きなチャンスとも言えます。
実際にここまで事業を展開するまでの苦労話も。
「不動産業界のことはもちろん、ビジネスのことをほとんど知らなかったので、様々な不動産業界の商慣習やお金のことなど本当に大変でした。
しかし、素人だったことが逆に良かったところもあり、こんなことがしたいと夢を無邪気に語っていたら、周りの方からお声掛けをいただき、たくさんのご縁に恵まれ、なんとかここまで来ることができました。
まだまだこれからですが、これまでにいただいたご恩をお返しできるようにこれからも頑張っていきたいと思います。」
部屋の魅力がなく長い期間空室になっていたり、周辺の競合物件に押されて賃料が上げられなかったお部屋を持っているオーナーや管理会社にとっては一つの有効な解決策だと思います。
実は、柏木さんには約15年くらい前にお会いしています。
当時のお仕事は今のビジネスとは全く関係のない分野でした。
その後、いろいろとあって10年くらい連絡が取れなくなっていました。
しかし、昨年不動産業界のある会で偶然にお会いすることができました。
そこでお話を伺ったら、当時からは想像もできないとてもユニークなこのビジネスを立ち上げられたところでした。
ユニークではありますが、客観的に見るとちょっと難しいビジネスモデルであり、大丈夫かなとも思いました。
しかし、その後、私の陳腐な予想を遥かに超え、現在はいくつかの大手不動産管理会社などと提携を進められており、事業をどんどん拡大されています。
これからの課題や展開について柏木さんに伺いました。
「こういった世界観のある部屋があるということを、なかなか伝える方法がないことが課題ですね。
一般的な不動産サイトでは駅からの距離とか面積、賃料など、デジタルな要素で検索をするため選択からはじかれてしまいます。
また紹介していただく仲介会社はとにかく契約数を増やすためにこういった部屋の魅力を十分に伝えることがなかなか難しい状況です。
自社サイトの拡充やSNSの活用など、こういった部屋の魅力を伝えられる方法をいろいろと模索しています。
またこういった価値観を共有いただけるオーナーや管理会社、工事会社、家具屋さんなどとのネットワークを広げたいと考えています。
今後の展開として、当社は最終的にリノベーション工事を拡大したいわけではありません。
快適な暮らしを実現したい入居者のライフスタイルを応援していきたいと思っています。
例えば、将来は家と冒険が企画したお部屋にお住まいの方たちに、素敵なグッズをご紹介したり、違う拠点を使っていただき、気分転換やワーケーションに活用してもらうサービスなどを提供できたら良いなと思っています。
多くの方が自分の好きなスタイルで、好きなモノに囲まれて暮らすことができるような、そんな社会を実現できたら素敵だと考えています。」
まだまだ柏木さんの”冒険”は続いていきそうですね。
今はワンルームなどの賃貸住宅のリノベーションから始まっていますが、いずれは自分のライフスタイルを大切にする全ての方にとって、ワクワクするような提案をしてくれる会社になっていくかもしれません。
- 株式会社家と冒険の詳細はこちら
- https://ie-to-bouken.com/
【取材・文:不動産業界活用マガジン編集長 加納幸典】